公益社団法人中津青年会議所 

 第62代理事長

 中 野 陽 一  

繋がりの中で生きる

人は生まれた瞬間から様々な環境変化の中で今を生きています。親の愛情を一心に受け育ち、学校という社会生活の中に入り、その後、親の庇護を離れ自立した社会人となり、親となって子供を育てます。そして、晩年を迎えていきます。人は一生のうちいったいどれだけの人の繋がりの中で生きていくのでしょうか。

私たち中津青年会議所も、長い歴史の中でたくさんの繋がりを持ち現在があります。

中津を良くするために、その時代に応じた諸問題の解決を、社会に対して働き掛けてきました。それを継続する中で創られてきたたくさんの繋がりがあるからこそ、時代の波を乗り越えられたのではないかと思います。それは、人生においても同じことが言えると感じます。

 この地に住む私たちは、愛する中津を明るい豊かな社会にしていくために、潜在した様々な問題を、人の繋がりの中で解決していくことができるはずです


未来へ繋がる地域づくり

 私たちが住むこの中津は、この10年ほどで大きく環境が変わりました。中津市の合併を始め、大企業の進出による人の流入や、交通網整備や進学就職などによる流出により、目に見える物や人の心の中にも大きな変化が起きてきています。


これから私たち自身は、この中津をさらに住みよい町にし、次の世代へ繋げていくことができるのでしょうか。外から来る人たちや、これからを担う世代に、中津について理解をして自らが体現できなければ、これまで積み重ねてきたものは、いつの間にか記憶の中から、意識の中から消え去っていきます。いわゆる風化をしてしまうのです。


自らがこの町の魅力を知り理解をし、そして後世へ伝えていくために、人が笑顔で集まり自然と伝えることができる場を創出します。そのような土壌ができて初めて、地域の魅力やこれからの中津を心の底から語り行動することができるのです。


繋がりの中の人財育成

パソコンや携帯電話などで、手軽に情報の取得や会話が繋がる今の世の中の環境は、非常に恵まれています。時間をかけて調べたり、人に聞いたりすることがなく、効率的に知ることができます。

しかし、その裏側にある危惧すべきことは、面と向かったコミュニケーション力不足や、思考力不足であり、効率的で非常に手軽で簡単な手段を取ることで、大切なものがすっぽりと抜けてしまう可能性があるということです。モノに触れて感じ、相手を見て感じ、物事に面と向かって感じ、そして対話の中で生み出していくという経験をすることで、自信と説得力を持つことができます。そこに初めて自らの意思が生まれます。その意思が信念となり夢へと繋がるのです。信念のこもった夢があればこそ、目の前にある壁を、乗り越えていくことができるのです。

これからを担う世代に対し、私たちの住む地域を基本として、様々な社会経験をしながら自らの夢を描き、これからを生きる自信へと繋げてもらいたいと思います。

 

全ての家族や組織、企業などは人で成り立っています。この地域においても、人がいて初めて全てのことが成り立っています。そのように考えると、組織や地域を創るということは人を創ることなのです。

人を創るということは、子育てにおいても、社員育成においても、地域においても、その未来を創りあげていくということです。子供たちは親のすることの真似をします。社員は上司や経営者の動きをみて仕事をします。地域の方々も率先して行動する人を見て動きます。つまりは、子育てにおいても、会社の社員育成においても、地域の人創りにおいても共通していることがあるのです。

自らが正しく動かなければ、また、自らが大きく成長しなければ、想う結果が出ることはありません。自らが率先して地域や人から学び、自らの言葉で未来を語り、汗をかき行動するような後ろ姿を見せることで、人は共感してくれるのです。そして共に成長できるのです。


継続的な交流

団体や組織などはこの地域とともに存在をしています。その各々は自らのまちをよりよくしていくために活動をしています。その活動自体は良いことではあるのですが、その活動がいつしか閉鎖的なものになり、地域の力が分散をしてしまうことに繋がりかねません。結果としてそれらの活動は縮小へと進むことにもなりかねません。

公益法人となった中津青年会議所の活動においても、決して利己的なものではなく、地域に開かれた活動でなければなりません。公益法人であるからこそ、常に公平な目線で様々な活動に参画ができるのです。

地域の繋げ役となるべく、しっかりと地域の活動に参画し、その意識を地域の中に醸成させていく必要があります。私たちは、このまちの力を集結させ大きな力に繋げる土壌を作り続けることが重要です。

 

いつの時代においても、国家は平和を目指しています。しかし、そこには宗教的、政治的、経済的な様々な信条や利権が絡み合い、平和的解決が図りづらい状況があります。国家間同士の和平と言うのは、長い年月が経ってもなかなか同調が図れていないのが現状です。

そのような中でも、晋州青年会議所と中津青年会議所は41年間も交流を続けてくることができました。それぞれの時代の社会的な環境の変化により、交流が非常に困難な時もあったことだと思います。しかし、それらを乗り越えて今日があることは事実です。それはお互いの団体が目指しているものが、世界平和と言う大きな理想だからだと考えます。JCは民間団体であり、様々な人種や業種のメンバーで構成されています。そのメンバーの繋がりは、純粋に人と人とでの繋がりしかないのです。私たちが地域の身の回りの繋がりを大切に思うのと同じように、国を超えても、相手のことを慮り受け入れ、個人を理解していくことが大切なのではないでしょうか。

今後、この日本はさらに国際的に開かれていきます。当然、私たちの住むような地方にもその国際化の波はやってきます。そのようになったとき、自然と受け入れることができるよう、この中津にも他国の方々を理解する場が必要だと考えます。そのためにも、私たちはこれまで続けられてきた交流をしっかりと受け継ぎ、そして地域と共に共有していかなければなりません。


同志の拡大

多様な価値観や考え方がある現在においても、皆が一様に考えることは、自分たちが住み暮らす環境が、様々な意味でもっと良くなることではないでしょうか。それは身の回りのことであっても、国と言う観点で考えたとしても変わることはないはずです。

次の世代により良い環境を残していくためには、志を同じくする人たちを増やすことが重要になってきます。一人の人間が少しでも多くの方々に志を伝えることができたならば、確実に良い方向に向かっていくはずです。一人でやることには限度があります。志と行動を共有し、共に活動する人間が多ければ多いほど、それは大きな力となり、さらなる原動力となるのです。それは、私たちの過去の事業が物語っています。私たちの活動が、地域に認められるものであれば、また、胸を張って自らの活動を語ることができれば、共に行動する同志や、賛同していただける同志は自然と増えていくに違いありません。

そのためには、まずはメンバー自らが青年会議所の活動の意義を、しっかりと理解することが必要です。一つ一つ段階を踏みながら、自らの意思を醸成していかなければなりません。その心の土壌ができて初めて、自らの思いや信念が生まれるのです。これからの地域にしっかりとした繋がりを残していくために、私たちは自信と信念を持って、確実に同志や賛同者を増やしていかなければなりません。同志の繋がりがある地域の未来がなければ、組織の未来もあるはずがないのです。


私の絆 人との繋がり


私はこれまで自分自身を考える大きな印象に残る三つの出来事と経験がありました。一つ目は1995年におきた阪神大震災。まだ高校生であった私には、遠い地のことでもあり、恥ずかしながら、その地域の人たちのために何かをしなければ、などと言う使命感はありませんでした。


二つ目は2011年に起きた東日本大震災。勤務した会社の赴任地が仙台で、友人もでき、そこで結婚し第二の故郷であります。この震災は中津に帰郷し七年ほど経った時の出来事でした。家族や友人の安否が全く確認できず、どうしてよいのかわからなかったのが本音です。しかし、当時、共に仕事をしていた現地の友人とメールでの連絡が付き、様々な情報交換をする中で、現地が必要としていること、自分ができることがわかってきました。その瞬間から、遠く離れた地にいる大切な人たちのためにと、使命感が湧いてきたのです。中津を含め、全国にいる知り合いみんなが気持ちよく協力してくれたことを今でも覚えています。どこにいても気持ちは同じだったのです。遠く全国に離れている人たちの繋がりの中で、自らができることを感じることができました。


三つ目は2012年に起きた九州北部豪雨災害です。局地的な豪雨が私たちのまちを容赦なく襲ってきました。私の会社の営業所や社員の家やお客様も被災をし、その復旧作業に奔走をしていました。会社の取引先は駆けつけてくれ、仙台の友人たちも当時のお返しとばかりに様々な援助を施してくれました。もちろんJCメンバーも、愛する中津のためにトップ自らも率先して、現地での復旧作業を行ないました。しかし、その時私は、自分の身の回りのことをどうにかすることしかできず、人からの支援を受けている状況でした。たくさんのボランティアが被災地に入り黙々と作業する姿を見て、震災の時とは逆の自分がいることに、非常に葛藤したことを覚えています。


何かをしようとする時、自分自身が人を羨むことなく、常に公平な目で見渡し行動をしなければ、お互いの気持ちに立つことができないことに気が付きました。これまでのそのような経験やJCでの活動の中で、人が繋がるためには、まず、自分自身がしっかりと自らの足で立ち、すべてを超越した万人が共有できる目的と、それに向かい地域が連携し皆で何かをする場があり、行動や気持ちを共有できる場があり、相手を理解し受け入れる場があることが必要なことに気付かされました。


これからの私たちは

私たち中津青年会議所は、過去61年の中で様々な活動を地域社会に向けて行ってきました。今私たちの存在があるのは、諸先輩方が築きあげた信用で成り立つ繋がりのおかげです。この繋がりに感謝し確実に受け継ぎ、大きな社会変化に敢然と立ち向かい、地域に潜在した諸問題を見極め、私たちの理想とする明るい豊かな社会に少しでも近づけていくために、青年らしく夢を語り、自らを律し決しておごらず、人に感謝し、率先して地域とともに行動する精神を未来に残していきます。


基本方針

・地域連携に繋がる地域の魅力発信

・自らの姿を描き見せることができる人財の育成

・繋がりを深めるための継続的な交流の実施

・自信と信念を持った同志の拡大と意識醸成

・伝統を受け継ぎ未来へ繋げるための組織力強化